理学療法士養成校を卒業し、新卒で病院へ勤務し、3〜5年を経過してくると「中堅」と言われる状態です。
人によっては勤務先の職場だけでなく、業界全体について疑問を感じたり、不安に思ってくる時期でもあります。
その疑問や不安は「勤務先の業務を一通り覚え、自分の中での仕事に対する一つの物差しができた証拠」でもあると思います。
さて、この記事を見てくださっているということは、これから自分がどのような方向に進むべきか悩んで、解決策を探していらっしゃるのではないかと思います。
この記事では、これからも理学療法士として前向きに働き、そして稼ぎ続けるために、中堅理学療法士の今後についての選択肢をお伝えしていきます。
理学療法士5年目になって限界を感じた理由
収入が頭打ちであるという事
悲しい事に、理学療法士の昇給額はそんなに高くありません。理由は、私たちの提供する業務であるリハビリ業務は時間で発生する報酬が決まっているからです。
つまり、1年目の新人さんが同じ患者さんに1時間リハビリをしたのと、10年のベテランさんが同じ様に1時間リハビリをしたとしても、稼ぐ事ができる報酬は同じという事です。
そして、1日に提供できるリハビリの時間自体にも限界があるため、経験があるからといってリハビリをする時間を沢山確保することはできません。
保険診療内で働く状況下では、今はまだ、知識や経験を反映する手段がないのです…。
勉強会にいったりと自己研鑽すれば、より良いリハビリを患者さんに提供できます。患者さんからは感謝の言葉を言ってもらえる事もあるでしょう。
その感謝の言葉や賞賛というのはやりがいにはなりますが、実際のところは、どこか報われない、虚しいというのが正直なところなのです。
「経験年数=理学療法士の価値」ではない
私は、1〜3年目まで、毎日新しい事を学んでアウトプットして、理学療法士としての成長を感じていました。
しかし、3年目をすぎると、同じ環境では覚えられる事に限界があるように感じました。例えば、私は回復期病院に勤めていましたが、回復期病院に入院する患者さんはどうしても「大腿骨頚部骨折」「腰椎圧迫骨折」「脳出血片麻痺」など、かなり疾患が限定的だったのです。
それもそのはず、回復期病棟に入院できる疾患自体が決まっているからです。
もちろん、主疾患に合併という形で他の疾患に接する経験も稀にありますがすごく少数なんですね…。つまり何が言いたいかというと、一つの職場に留まり続ける事は危険かもしれないという事です。
長く勤める事で得られる経験もあるけど、得られない経験も多い
長く勤める事で得られる経験
◯役職を得ることができれば、管理業務に携わることができる
●部署の方向性など、大きな事柄に関わる事ができる
長く勤めても得られない経験
◯違う分野の経験(怪我や病気の時期による違いや、疾患による違い、etc.)
●ニッチな知識や技術の習得
◯自分で稼ぐという経験
腰を痛めて仕事を休んだ時
ある日突然、職業病ともいえるぎっくり腰になりました。整形外科でレントゲンをとったところ、もともと腰を痛めやすい状態だという事がわかりました。
私は腰は痛めないと思っていたので、とても驚きましたが、2つの疑問が生まれました。
「20代で腰を痛めて…65歳まで理学療法士として働き続ける事はできるのだろうか」
「私は、65歳でも雇ってもらえるんだろうか」
これは、少なからず私が理学療法士という働き方に限界を感じた理由の一つです。
【追い討ち】2040年頃にはPTOTが需要数の約1.5倍となる
平成31年に厚生労働省から出された、「理学療法士・作業療法士の需要統計について」によると、理学療法士と作業療法士の合計は、既に需要を上回っており、さらに2040年には供給数が需要数の約1.5倍になることが予測されています。
私個人の意見としては、この値は大きく変わることはないと思います。理由は、人の数は出生率からおのずと導き出されるためです。
供給数が増えれば、診療報酬は下がるように気もしますが、実際のところはどうなるかわかりません。現在国は介護予防事業の方に力が入れているみたいなので、介護分野の診療報酬の方が上がっていくかもしれません。
需要が減ると、雇用側は理学療法士をふるいにかけると思います。これからは、経験年数だけが高いような理学療法士が雇われるというのは考え辛く、むしろ経験も知識も浅い理学療法士は採用されにくくなるというのが自然でしょう。
さすがその頃にはある程度、理学療法士個人個人の知識や経験が報酬に反映されるようになる仕組みができるのではないかなと期待しています。
【行動しないと何も変わらない】今後の選択肢4選
以上の話をもちまして、私の提案することのポイントは以下の通りです。
◯【減少する需要に負けるな!】選ばれる理学療法士になるためにできる事をする
①管理業務に携わる
②転職して、新しい経験を身につける
●自分で稼ぐ力を身につける
③個人事業主になって事業を行う
④理学療法士を小さく辞める&副業を始める
選択肢①:今の場所で昇格を目標に働く
管理職という立ち位置は、理学療法士という知識を高めるというよりも、社会経験になります。
もちろん、役職がつく以上一定以上の昇給は見込まれるでしょう。
役職がつく前は、「患者さんによりよいリハビリを提供するためにはどうすれば良いか」という事を主に考えていたと思いますが、管理職になると、求められるものがガラッと変わります。
自分の部署のサービスの質をどのように上げていくのか、収益をアップするのか、そしてスタッフが長く働きやすくするためにどのように仕組みを変えていくべきか、色々な問題や課題の解決を図ります。
業務の内容的にどうしてもリハビリをする時間は短くなりますが、一般職の立ち位置では携わることができない業務の数々はとても貴重な経験です。
選択肢②:転職を試みる
給料をあげる&新しい経験を増やすのに一番近道の方法だと思います。
現時点での昇格を試みるよりも、既に給与が高い場所に転職できた方がおそらく早く年収をあげることができるでしょう。
新しい経験を増やす事で、理学療法士としての自分の価値も高める事ができます。
保険診療に固執する必要はないと思います、必要なサービスにはそれ相応に対価が支払われるのが自然ですが、保険診療では給与に限界があります。
しかし、私が大切だと思うことは、保険診療・自費診療関係なく、転職先が同じ様な分野ではなく、自分の働いていたことを活かすことができて、さらに自分の価値を高めてくれるような環境に身を置けることだと思います。
転職を検討される際には、転職支援サービスを利用するかと思いますが、おすすめは転職サイトよりも、転職エージェントです。詳しくは下の記事をご覧ください。
選択肢③:個人事業主になって事業を行う
理学療法士として働いていると、「(患者さんにとって)こんなサービスがあれば良いのにな」「こんな仕組み誰か作らないのかな」と疑問に思うこともあるかと思います。
理学療法士は開業権はないので、事業の立ち上げ方には一捻り必要ですが、開業を検討するのもありでしょう。
理学療法士の中には、フリーランスとしてトレーナーになったり、事業所(訪問リハビリ事業所、デイサービス、整体院)を開かれる方もいます。
年齢を積み重ねることによって、新しい事をする際のハードルはどんどん上がり、腰が重くなっていきます。やりたいことがあるのではれば早めに行動する様にしましょう。
失敗を恐れるのは仕方ありませんが、失敗を恐れて挑戦しないのはもっと損だと思います。
また、自分で開業するまで至らなくても、小さく自分で稼ぐ方法を身につけるのもアリです。どちらかというと、私はそっちの方がおすすめです。
選択肢④:副業を始める(理学療法士を小さく辞める)
もともと、この記事にたどりついてくださったということは、少なからず理学療法士からの離脱も視野に入っているかと思います。そのような方におすすめなのは、「小さく辞めて、違う収入源を少しずつ増やしていく」ということです。
理学療法士でもできる副業は、今パッとあげると以下の通りです。
◯自分のコンテンツを作る→そこでサービスや商品を提供する
→商品の広告をして稼ぐ
●理学療法士の経験を活かして記事を作成する(コンテンツライター)
上記のような副業に挑戦しつつ、取り急ぎの生活費や税金の支払いのために理学療法士のアルバイト(非常勤勤務)を並行して行うイメージです。おすすめは訪問リハビリ事業所です。
ある程度副業の収益が増えてくると、確定申告しないと勿体なくなったり、おそらく開業届けを出す事になると思います。そこまでいくと、働き方に色々な選択肢が出てきます。
その状態までいければ「私はリハビリをしないとお金を稼ぐことができない」というジレンマからの脱却が図れます。
副業については、別記事で詳しく解説しますね。
2040年、理学療法士・作業療法士の供給は需要の約1.5倍になると言われています。
理学療法士自体に限界を感じている方、将来が不安な方、「まぁ、仕方ないか…」とサジを投げずに、自分が今より良い環境で働ける様に行動をしてください。
行動が遅ければ遅いほど、後で後悔しかねません。それでは、ここまで長文を読んでくださりありがとうございます。