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今の理学療法士業界の状況と、現在の流れに即した行動とは

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 今の理学療法士業界は、理学療法士の供給が飽和状態となりつつあり、協会の方では「量より質」が保たれる様な取り組みが始まっています。

 理学療法士は、持てる知識や技術を使って患者さんに運動療法などを実施し、その人その人が持てる能力を最大限に引き出す意義のある仕事です。

 ところが、ただ目の前の患者さんにやりたいことをするだけでは現状のところ稼げません。

 本記事では、今の理学療法士業界の状況と、長期的に稼いでいくために必要な行動について、説明していきます。

患者さんのためにやりたいことをするだけでは稼げない理由

「患者さんのためにできることをする」事はとても良いことで、その考えや行動に間違えはありません。

 ところが、何故か自分の行動は認められないし、むしろ上司や他職種にまで迷惑がられる上、給与も上がらない。こんな不甲斐ない思いをされている方もいるのではないでしょうか。

 それでは、やりたいことをするだけでは稼げない根本的な理由を2つあげます。

理由①:どんな技術や資格を持っていても、診療報酬は変わらない

 医療保険や介護保険でリハビリを提供する以上、1年目の新米理学療法士と10年目のベテラン理学療法士が同じ患者さんにリハビリを提供しても、報酬は一緒です。

 理学療法士協会の方では、「量より質」が保たれる取り組み(登録理学療法士、認定理学療法士、専門理学療法士制度)が始まっていますが、来年の医療保険の診療報酬改定の修正予定項目などを見ても、経験年数や有資格の有無による診療報酬の変更の予定は見当たりません。

理由②:やりたいことを実現するためには、誰かの協力や仕組みの改善が不可欠

 患者さんのために、何かやり方や仕組みを変えたいと思い、その理想や希望を上司に相談しても中々動いてもらえない…そんな経験はありますか?

 その理由は、私たちコメディカル部門が何か病院内などで仕組みを変えるためには、同部署内だけに限らず、他部署の協力も依頼しなくてはならないケースがほとんどだからです。

 仕組みを変えるのに管理者が時間をとられる上、同部署のスタッフだけでなく他部署のルーティン業務も増える可能性が高くなります。

 患者さんのためになる仕組みの改善は、長期的にみれば患者さんの満足度やその後の入院患者数にも反映される可能性があるため、意味がないわけはありません。しかし、その希望的観測は客観的な数字として示す事が難しいです。

 短期的に見て特に病院や事業所の収益が上がらない状況で、仕事だけが増える様な仕組みの改善だった場合には、上司や同部署のトップも動く事が難しいでしょう。院内は常に目の前の問題の解決に忙しいのです。

 ここで、一つ前向きな話をするとすれば、仕組みを変えたいと思ったあなた自身が、仕組みを変えるための方法・手続きや他部署への依頼なども率先して実行する姿勢を見せれば、何か変わる事があるかもしれません。

 そして、そこまでの行動力があれば、あなたの評価も上がる可能性が高いです。

【量より質】理学療法士の質を確保できるような取り組みが始まる

 診療報酬上は、資格や技術を持っていたとしても特に保険診療上は稼げる額は変わりません。しかし、飽和状態となりつつある理学療法士の質を確保すべく、新しい取り組みが始まります。その取り組みを少しここでご紹介します。

【2022年4月開始】登録理学療法士制度

 理学療法士として必要な知識や技術を学ぶための制度です。似た様な名前では「認定理学療法士・専門理学療法士」という資格があります。

 登録理学療法士は取得に最低5年が必要なハードな資格です。

 ハードながら、理学療法士協会の方では、この登録理学療法士の資格で学ぶ内容を「義務教育的」立ち位置の資格として説明しています。

 今後は、登録理学療法士の資格はその先の難易度の高い「認定理学療法士・専門理学療法士」の資格取得のために必要となる様です。

登録理学療法士を取得する事により得られるメリットとは

 一番気になるところは、その資格を有することによって、診療報酬は上がるのかという点だと思いますが、残念ながら特に変わりはありません。

 しかし、2022年より、「認定理学療法士・専門理学療法士」は医療広告に明記できるようになります。

 そのため、登録理学療法士を取得し、ゆくゆくは「認定理学療法士・専門理学療法士」を取得することにより、病院や事業所はあなたをリハビリを提供するスタッフとしてだけではなく、PRに有効な存在としても求められる可能性があります。転職などに有利になることが考えられます。

 そして、診療報酬が変わらずとも、病院や事業所によっては、あなたの資格を職能手当などの名目で基本給に上乗せしてくれるかもしれません。

 将来的な収入を安定させる手段の一つとしては取得を検討するのも良いと思います。

 やりたいことをして稼ぎたい方にできること

 この記事を読んでいて、「でも自分は、自分のやりたい事で稼いでいきたい」と思われる方もいるでしょう。そのような時におすすめの行動についてお伝えします。

採用したいと思わせるための工夫をする

  • 医療広告に出せる様な資格を取得する
  • 教育的な視点を持つ

 やりたいことをして採用されるためには、病院や事業所側に「採用したい」と思わせる必要があります。

 具体的には、採用者側にとってメリットのある資格(認定・専門理学療法士)を取得することや、教育的な視点を持てればより強つことです。

 病院や事業所は、なるべく経費を減らすために、経験年数の浅いスタッフを積極的に採用する傾向にあります。

 そのため、1部の人間に経験豊富で教育熱心な人材がいてくれれば、部門全体の質も向上するため、とても喜ばれるでしょう。

技術や治療に専念したい場合には、保険外で働くことを検討する

  • 自費診療
  • 開業

「私は自分がやりたいことをしたい」「治療に専念したい」という方の場合には、保険外で働くことを検討しましょう。

 保険外であれば、診療報酬にとらわれることはありません。技術や知識が高ければ高いほど、稼ぎやすい環境となるでしょう。

 また、保険外でサービスを提供する働き方は、サービス内容が縮小されるため、業務内容も減り、やりたいことに集中しやすいといえます。

 開業については、経営や集客を自ら行わなくてはいけないため、リスクはありますが、ゆくゆくは役に立つ経験となるため、トライしてみるのも良いと思います。

まとめ

理学療法士は、やりたいことするだけでは稼げません

 やりたいことだけで稼ぐためには、自分を他スタッフと差別化するための工夫する。もしくは保険外で働くことを検討する。

【量より質】登録理学療法士制度が始まる

 義務教育的立ち位置の制度。資格を取得したとしても、即収入に直結するものではないが、将来的には響く可能性あり。認定・専門理学療法士の資格を取るためにも必要。

 将来的な収入の安定の確保のためにも、一度は取得を検討するのも良い。