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パートの不安と魅力

理学療法士が【パート】として働く際のメリットデメリットのまとめ

 理学療法士として非常勤という働き方を考えるのであれば、メリットだけでなくデメリットも正しく理解しておく必要があります。

 この記事では、常勤から非常勤に転職した理学療法士が、理学療法士の非常勤(パート)としての働き方にまつわる不安や魅力、つまりメリットデメリットを解説していきます。

 そして、デメリットについては、それをバックアップするための情報も合わせてお伝えします。

 なるべくわかりやすく網羅的に解説していきますので、パートを検討している方は就活前にどうぞご覧ください。

理学療法士のパートのデメリット

 ここでは、パートとして働くにあたって生じる可能性あるデメリットを、重要度順に挙げていきます。

 デメリットは特にパートを考えている方は就活前に必ず目を通してください。

 特に社会保険加入の有無については、もともと常勤として働いていた方にとっては加入の条件がわかり辛く、就職間際に「社会保険に入るには出勤日数(時間)を増やしてもらわなくてはならない」という重大な条件を言い渡される危険があるためです。

 すると、本来自分が想定していた働き方が変わってしまう可能性もあるので、わからなければ何度も読み返して覚えておきましょう。

年収が下がる

 パートに転身すると、年収は下がるでしょう。賞与についても、パートなどの非正規雇用の場合はもらえないと思った方が無難です。

 賞与を支払うかどうかは、原則会社側が決める事ができます。

 賞与がもらえないという事と、月収が下がる事により、当然年収は下がるでしょう。

 私の場合は、回復期の常勤から週3の訪問の非常勤に転身しましたが、年収は半分弱ほど下がりました。言い換えれば半分以上はもらえているという事です。

 ただ、ここで考えたいのは働いている時間について。私の場合は常勤の時と比べると、働く時間は6割程度に減りました。週3日勤務であるものの、空き時間は自分に直接関わる業務以外の雑務に専念できているので残業する事もほとんどないためです。

勤務の仕方によっては社会保険に入れない

社会保障加入の条件

1. 1週間の所定労働時間が20時間以上(残業は含まれない)

2. 1ヶ月あたりの決まった賃金が88,000円以上

3. 雇用期間の見込みが1年以上であること

4. 学生でないこと

5. 以下いずれかに該当すること

 ①従業員数が501人以上の会社

 ②従業員数が500人以下の会社かつ、加入について労使で合意されている

 会社で社会保障に入れてもらうための条件は上の枠線内の通りです。

 1〜4は結構簡単にクリアできてしまいそうですが、中でもネックなのは5に記載されている部分です。

 詳しくは、厚生労働省記載の加入条件をご覧ください。↓

週3勤務の私は社会保険に入れませんでした

 まさに私がそうなのですが、週3日勤務では会社で社会保障に入れてもらうことは出来ませんでした。

 社会保険とは、年金と健康保険のことです。みなさま毎月給料から年金と健康保険料で結構引かれていますよね?

 ここで社会保障について少し触れると、パートなどの非正規雇用の場合の社会保障は勤務する日数や勤務時間によって入れるかどうか決まってきます。

 具体的には、色々条件はあるのですが、週20時間以上働くことができれば、入ることができます。

 これはつまり、週4勤務で1日5時間、もしくは週3勤務でも6.7時間以上勤務すれば、入ることができるということです。

 しかしこれには注意点があります。それは勤務先の事業所の規模が小さい場合(従業員数500人以下)です。

 事業所の規模が小さい場合には、非正規雇用者を社会保障に入れる縛りが少し厳しくなり、先ほど説明した週20時間という時間以上働いても、社会保障に入れない場合があります。

 厳密には、社会保障に入れるかどうかは、事業主側で決めることができます

 なぜ勤務時間が少ないと社会保障に入れないかというと、病院や会社は、従業員の社会保障費の半分を肩代わりしているためです。

 「社会保険料(年金と保険料)を半分支払うから、その分ここ(勤務先で)しっかり働いて収益あげてくださいね。」といった感じですね。

社会保険に入れなかったらどうする?

 勤務先の社会保険に入ることができない場合、自分で社会保険料を納めることになります。

 具体的には、年金は国民年金(基礎年金)

 健康保険は国民健康保険として毎月納めることになります。

 毎月納めるのは面倒なので、銀行から直接毎月引き落としてもらうことが出来るので、そんなに煩わしさはありません。

会社で入れてもらう社会保険と自分で入る国民保険の大きな違い

 国民年金と社会保険の大きな違い二つがこちら。

  1. 年金部分:将来もらえる年金が少なくなる
  2. 健康保険部分:育休、産休手当がもらえない

 ①年金部分について

 会社の社会保険に入る場合、私たちは2種類の年金に入ることになります。厳密には基礎年金(国民年金)と厚生年金の2種です。

 もし、会社の社会保険に入れない場合、原則加入義務があるのは基礎年金部分(国民年金のみ)で、厚生年金は支払わないことになります。

 すると、毎月国に納める年金が少なくなるため、将来もらえる年金が少なくなるということです。

将来もらえる年金(満額を支払った場合)

基礎年金(国民年金)のみの場合…65,000円/月

基礎年金+厚生年金の場合(年収450万を想定)…142,000円/月

 そう、国民年金は納める額が少ないですが、もらえる額も少ないのです…。ここは結構シビアなところだと思います。

 ②健康保険部分について

 会社で入れる健康保険と自分で入るタイプの国民健康保険の大きな違いは、出産をしても育休、産休手当がもらえないということです。

 そのため、もし子供が生まれた時には自分の体調が回復したら働いて稼ぐか、旦那さんがいらっしゃれば、扶養に入るのが無難です。

 医療費の負担割合は変わりません、会社で健康保険に入っても、自分で入っても3割負担です。

キャリアアップが難しい

パート勤務の場合、常時職場にいることができないため、業務やスタッフを管理する、いわゆる運営のような業務をする事は難しいでしょう。

管理業務ができなければ、役職がつくことも多分ないです。

「あ、今日は休みの日か」「相談したいことがあるけど、もう帰宅時間」そんなスタッフに運営が関わってる様な大事な話は出来まんよね?

「役職者は原則常勤である」という原則もありませんが、リーダーや主任への昇格は厳しくなると思った方が賢明です。

 しかし、パート勤務は、常勤とくらべ雑務が少ない分収益を発生させるリハビリ業務をする時間は比較的多いことが考えられます。

 収益に直接結びつかない係業務のような雑務は他の常勤がこなしてくれることになると思うので、ある意味臨床には専念できるといえるでしょう。

 つまり、臨床経験をつむという観点で考えれば、パートは悪くないといえます。

転職し辛くなる(※)

 「パートで働くと、常勤として働きたくなった時に転職し辛くならないだろうか…?」そんな不安をお持ちの方もいらっしゃるかと思います。

 例えば全く同じ経験を持ち、技術力や性格も似た様な理学療法士2名がいるとして、1名がパート勤務をしていた方でもう1名が常勤として勤務していたのであれば、おそらく常勤の方が採用されるでしょう。

 それは、常勤勤務をされている方のほうが責任も重く、常勤として勤続しているという背景があればある程度信頼が担保されるためです。

 しかし、パートとして働いても、その人の理学療法士としての働き方によっては常勤として必要される人材にはなれると私は考えます。

 つまり、就活時に自分をどう売り込もうか考えれば良いということです。

「これまではパートとして色々な環境で経験を積んでみて、行き着いた先がこの職場だった。だからこそ、長く勤務したいと思った。」

「パートをしていたからこそ培うことができたスキルがあるから、より貢献することができる。」

 採用担当の方に、自分を雇用した場合のメリットをわかりやすく説明する必要はありますが、ものは言い様だと思うのです。

 パソコンが得意であれば、他のスタッフが解決できない問題を解決できますし、ブログを書くことが好きであれば、勤務先のサイトで広報活動もできるでしょう。

 「この人、ちゃんと責任持って業務を遂行してくれるのかな…?」などと疑問を思われてそうな場合には、その企業の不安を払拭できる言葉(勤続の意思や職への熱意)を伝えてあげればいいのです。

 まずは、常勤じゃないと先行きが危ないという先入観は取り除きましょう。

職場での情報伝達不足に陥りやすい

 意外と見過ごされそうなところがこちら、情報伝達不足です。

 非常勤は常勤と比べると勤務時間や勤務日数が少なくなります。非常勤の方の勤務時間内に情報共有がしっかりされていれば良いですが、多くの場合、終業前や終業後に情報共有の時間を設ける場合が多いかと思います。

 そうなる場合、常勤のスタッフが知っていても、非常勤のあなたは知らないことが出てくる可能性があるわけです。

 しかし、通常は話し合いやミーティングで話された内容は議事録や連絡ノートに書いて残っているはずなので、そのような媒体から情報を拾うか、自ら情報は積極的に拾う様に努力をする必要があるでしょう。

 もしくは、情報伝達が行いやすい環境を探しましょう。(例:スタッフがその場に居合わせなくても意思疎通するための手段【チャット機能を有する端末を導入している】がある)

理学療法士のパートのメリット

 たくさんのデメリットをご覧になって、パートに少し萎えてきてしまった方もいるかもしれませんが、理学療法士でパートで働かれている方は多いです。

 それは、パートという働き方は、常勤では得られない魅力があるためです。

 ここからは、パートとして働くにあたって生じる可能性あるメリットを挙げていきます。

係業務などの雑務から逃れやすい

 常勤として勤務する場合、リハビリ業務だけでなく、係の仕事や事務作業、相談、教育などの比重も結構大きくなります。

 特に、勤務年数が多くなるほど、その作業時間は多くなるでしょう。

 それが非常勤勤務の場合には、常勤と比べてリハビリ以外の業務は極端に少なくなることが想定されます。

 理由は、多くの場合私たちが収益を上げる仕事自体はリハビリを提供する業務だからです。

意外!?理学療法士のパートは臨床に専念しやすい

 上記のような理由から、勤務時間に患者さんとリハビリをする時間の割合は多くなり、常勤と比べると臨床に専念しやすくなります。

 常勤で管理業務も行うようになると、臨床の時間が少なくなりがちです。経験があがって役職がつき管理業務をこなしていくうちに、臨床が恋しくなってしまう方も多いです。

 逆に、臨床に専念できるパートという働き方は理学療法士としての経験は増えるためメリットといえるでしょう。

時間的余裕が生まれて生活が豊かになる

 リハビリ業務に専念しやすいということは、勤務中にやるべきタスクが少なくなるため、臨床以外で行う業務も当然少なくなります。

 リハビリ時の記録の記載や計画書や報告書などの必須の書類は担当しか書けないため、リハビリ以外の業務が完全になくなるわけではありませんが、残業になることは少なくなると思われます。

 また、パートや非常勤という特性上、勤務時間や勤務日数が少なくなることから、仕事以外のプライベートは格段に充実しやすくなります。

副業へ挑戦しやすくなる

 常勤の頃と比べると、勤務時間以外の空いた時間が増えます。心理的にもかなり余裕が生まれることから新しいことにチャレンジする意欲が生まれてきます。

 非常勤として働いていることから完全に収益減がないわけではないため、さほど大きなストレスもなく副業に挑戦することができるでしょう。

 完全にフリーランスになると、仕事が増えたり減ったりする上に常に自分で収益を確保する方法を考えなくてはいけません。これは結構な不安であり、ストレスにもなります。

 その点非常勤であれば、勤務先からある程度の収入は確保されつつ、別で副業にチャレンジすることで収入を増やすこともできるのです。

 別の副業でしっかりとした収入が確保でき自信がつけば、理学療法士としての働き方一つに縛られないことで、より心に余裕が生まれ、生活が豊かになるでしょう。

まとめ

安心してパートとして働きたい方:社会保険に入れる勤務形態を選ぼう

 現在子育てもしていて忙しいし、これからもいつ子供が生まれるかわからない…育休産休は取れる様な状態でいたいな…。

 そんな方の場合には、社会保険に入れる非常勤勤務形態を優先して選びましょう。

 場所によっては週3勤務から社会保険に入らせてくれる事業所もあります。

ガンガン副業や事業にもチャレンジしたい方:必要最低限の給与を割り出し、自分の時間を優先しよう

 自分は副業にもガンガンチャレンジして、これからもいろんなことを経験したいし、稼げる様になりたい!

 そんなチャレンジ精神旺盛な方は、社会保険にとらわれずに自分がやりたいことをするためにどれくらいの時間を確保したいかをまず優先して考えましょう。

 そして、非常勤として勤務できる時間が割り出せたら、自分の最低限必要な生活費を割り出し、その時間で自分の生活にあった収入が得られそうな場所への転職を検討しましょう。

パートは臨床の割合が多いため、理学療法士としてのスキルアップに専念しやすい

 常勤と比べると、非常勤は限られた時間で収益を上げる必要があるため、雑務が振られにくくなる傾向にあります。

それは翻せば、勤務している時間の中で臨床に専念しやすいということ。日々勉強したことをアウトプットする時間が多いので、理学療法士としてのスキルアップは図れるでしょう。

 非常勤だから理学療法士としての経験が浅くなる…そのような不安はさほどないと思われます。わからないことは自分で調べて質問し、すぐ患者さんに還元する、そんなスタンスで一生懸命患者さんと関わることができれば、常勤・非常勤は関係なく、信頼される理学療法士になれるでしょう。

理学療法士のパートという働き方、稼ぎつつ時間的余裕がある

 理学療法士の非常勤という働き方は常勤と比べると収入は下がるでしょう。

 しかし、非常勤であることで生まれた心理的・時間的余裕は何物にも変えられません。

 理学療法士としてはもちろん、自分の人生を考えた時に、自分が幸せになるには自分の時間をどのように使うべきか考えましょう。

 その結論が時間よりもお金なのであれば、これからも常勤として働き続けるのはありだと思います。

 それがもしも時間や私生活を大事にしたい、自分の可能性を探求したいという想いが少しでもあるのであれば、非常勤勤務という働き方を検討するのは多いに「あり」でしょう。