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理学療法士が忙しい理由と対応策

理学療法士が忙しい理由と対応策:アイキャッチ画像

 理学療法士として働いていて、はたはた疲れた状態で残業に取り組んでいる時「なんでこの仕事ってこんなに忙しいんだろう」と、疑問に思った事がある方も多いのではないでしょうか。

 理学療法士の仕事が忙しい理由は、業務内容が広く、かつマルチタスクになりがちであるという点につきます。

 もちろん、報酬形態が時間の切り売りであるという点も忙しさに拍車をかけています。

 こちらの記事では、理学療法士が忙しくなってしまう理由とその対応策についてお伝えしていきます。

 後半の方では、その忙しさを回避する方法についても解説していますので、今現在忙しくて辛い方はぜひご覧になっていただけたらと思います。

理学療法士が忙しい理由

 それではここから忙しい理由を具体的に説明していきます。

忙しい理由①業務内容が広くマルチタスクである

 私たち理学療法士の業務で8割以上を占めるのは、患者さんへのリハビリの提供です。それでは、仕事の根幹となるリハビリを行う際に私たちが行う内容を箇条書きで見ていきましょう。

  • 患者の全身状態確認
  • 心身機能の評価
  • 治療(運動療法や物理療法)
  • 安全の確保(訓練中の外傷や転倒、ルート抜去の防止)
  • プログラムの調整
  • コミュニケーション
  • トイレ
  • 着替え
  • 環境調整
  • 送迎

 私たちの主たるお仕事はリハビリですが、40~60分の間にリハビリ以外に行わなくてはならない業務がとにかく多いです。

 そして、1度に1つの項目を行うわけではなく、多くの場合に並行してその業務を行います

例:歩行練習中、ただ歩行を観察するだけではなく、安全(体調変化・安全の確保・点滴抜去・外傷・転倒)に注意し、さらにコミュニーケーションも同時に行う。

 特に、私たちは患者さんができるギリギリのラインを攻めてトレーニングしていかなくてはなりませんが、それは共にリスクが高いことでもあります。

 そして、毎回必ず生じる事ではありませんが、リハビリ終了間際に患者さんが「トイレにいきたい」「入院生活についての要望(クレーム)があった」「体調が変化した」などの事象が生じる事もあります。

 そうなれば、リハビリ後に介助をしたり、病棟看護師と話をしたりと、時間通りにリハビリを終える事ができないケースが多々あります。

 色々な事ができるのは悪い事ではありませんが、リハビリ専門職でなくてもできるような業務内容も多く、1日に行う仕事の内容も広く浅くになりがちです。

忙しい理由②リハビリを提供するまでにたくさんの職種が関わっている

 理学療法士がリハビリを提供するまでには、たくさんの職種が関わっています。

  • 医師
  • 看護師
  • 薬剤師
  • 栄養士
  • OT,ST
  • 病院外スタッフ(患者さんの家族、ケアマネージャーなど)

 患者さんは私たち1人だけで見るのではなく、たくさんの職種全体で包括的に見ていきます。

 何かがあれば、必要な職種まで情報を届けたり、時には相談・話し合いをしなくてはならない事もあります。

 しかし、業務時間内にそれら全てを終わらそうとしても、関わる医療従事者は皆、同じく忙しい状況で働いており、思うように事が進むことはそうそうありません。

 これもまた忙しさにつながっています。私たちは、連携を取るのにとにかく多くの時間がとられるのです。

忙しい理由③報酬形態が時間の切り売りである

 私たちが保険診療範囲で提供するリハビリの報酬は、内容ではなく、時間で決められています。

 1年目と10年目の理学療法士が同じ患者さんに同じ時間リハビリを提供したとして、稼げる報酬は一緒であり、これは国で決められています。

 そのため、いくら経験や知識が増えても、理学療法士としてリハビリを提供する以上は私たちの時間や報酬額が増えることはありません。

 ところが、リハビリ以外の業務はないかといえば、そうではありませんよね。

リハビリ以外の業務(例)
  • 書類業務
  • 事務業務
  • 教育業務
  • 係の業務
  • 他職種との話し合い・連携

 勤務時間中は可能な限り多くの時間を患者さんにリハビリを提供するように割り振られていますが、上記のようなリハビリ以外の業務の多くはリハビリ提供時間外に行わなくてはなりません。

 しかし、カンファレンスや必要な会議を除いて、リハビリ以外の業務時間は勤務時間中に十分には設けられていない事がほとんどです。(厳密には「収益の関係上設けられない」が近いと思います。)

 そのため、経験年数やできる事が増えるについれ、リハビリ以外の業務(特に教育関連や係業務など)も増え、勤務時間前や休憩時間、ひいては勤務時間終了後に残った仕事を行うスタッフが出てくるのです。

忙しさについての対応策【自分の立ち位置や環境を変えよう】

 業務が忙しい中、もう少し余裕をもって働くにはどうすれば良いか、その対応策について解説していきます。

 その対応策は業務内容を縮小できるように、働き方を工夫することです。業務内容の種類が少なくなれば、おのずと業務量は減り、シンプルとなります。

 業務量が減れば、つぎ込めるリソースも多くなり、業務も集中しやすいでしょう。専門性を高めるのにも適しているといえます。

 それでは、業務内容を縮小するための方法を3つ挙げていきます。

業務内容を縮小する方法
  • 自分の立ち位置を変える
  • 転職する
  • 開業する

自分の立ち位置を変える

例)管理者やリーダーとなる

 求められるマネージメント能力は一般職よりも当然高くなりますが、業務の遂行上患者さんの受け持ち人数が減ります。

 そして、患者さんごとに必要となる事務作業や連携業務は少なくなります。

 その代わりに管理業務は増えますが、一般職に比べ勤務時間中に管理業務を行う時間を確保しやすく、集中もしやすいでしょう。

 また、管理業を経験できれば、その後の転職先の幅が広がり、昇給の交渉等もしやすくなるというメリットもあります。

 しかし、管理者やリーダーは環境によってはなれないこともあるため、時間はかかるでしょう。そのため、足早に環境をかえるには、下記の方法をお勧めします。

転職する

 業務内容を縮小するのに、一番即効性があるのは、転職です。

 以下の点は業務量にも大きく関わってくるため、ご参考ください。

  • リハビリを提供する時間:働く場所によって、患者さんにリハビリを提供する時間は変わります。少ないところでは15単位〜、多いところでは日によって21単位取得する場所もあります。ちなみに1日の勤務時間中に21単位を取得しようとするのはかなりハードです。気をつけましょう。
  • リハビリ以外の業務(事務作業)の量:病院や事業所によって、作成する書類の数や量は変わってきます。事務作業は少なく簡易化されている場所が良いです。
  • 勉強会、研究発表などの頻度:比較的大きい規模の急性期や回復期病院では勉強会や研究発表が活発な傾向にあります。反対に、小さな規模の病院や事業所では、その回数が少なかったりします。
  • 実習生の受け入れの頻度:実習生の受け入れは多くの病院で実施されており、病院によっては1年に2人も受けもたなければならない事も。実習生がいる期間は指導者側も業務量がかなり増えます。実習生の受け入れは、病院側は多少の報酬が得られるため、受け入れるかどうかはその場所しだいです。事業所によっては、実習生の受け入れを行なっていないところもあります。こちらは転職活動時に確認してみましょう。

 上記のような内容を転職活動中の面接などで聞くのは気が引けると思います。そのような時は転職のコンサルタントを通して聞きましょう。無料で出来るので、使えるサービスは臆せず使いましょう。

 比較的業務量が少ない転職先としてあげられるのは、入退院の回転が少ない慢性期の病院、書類業務が少ない訪問看護事業所(ステーション)やデイサービスなどがあります。

 また、何かに特化している環境では自費診療、研究所などがあります。

 ちなみに、転職活動時に相談役がついてくれるサービスは下記のような転職サービスです。ご参考ください。

開業する

 前の項で、比較的即効性のある転職について解説しましたが、業務量が軽減されるとはいえ、雇用されている以上はやりたくない業務も多少出てくるでしょう。

 もし、自分が本当にやりたい事(ある一つの治療技術や理学療法とは異なるサービスなど)がある場合には、開業も視野に入れましょう。

 しかし、開業するまでには勉強し、考えなければならない事が多いのに加え、まともに収益を上げられるようになるには時間がかかります。

 ご家庭持ちやローンを組んでいるような方の場合には、無理にリスクは取らないようにして、小さく始めるのも良いです。

 例えば、余裕のある職場に転職した上で、余った捻出した時間で副業や休日開業から始めるのもおすすめです。


 本日の記事は以上となります。

 リハビリ以外の業務が良くないものと言いたいわけではありません。

 しかし、治療に専念したい・やりたいことをしたい理学療法士にとっては、忙しい環境は足かせとなります。

 あなたとあなたの家族の幸せと将来を考えた時に、メリットの多い環境を選びましょう。